戸田の内緒話。

自分の日常で思ったこと、感じたことをつらつらとひっそり書きます。

湯。

最近僕が驚いたお話です。

 

最近の支援校で漢字の学習をしているところに遭遇しました。

 

分からない漢字があると私に聞いてきます。

終わった子もいたため、「分からないって言ってるから教えてあげて。」というと教えにいきます。素直で本当にいい子達だなあと思って見ていました。

「ただ教えるだけじゃダメだよ、次にその漢字に出会った時はその子が解けるようにならないとね。」と伝えると「難しいー。」と言いながらも教え始めました。

 

最初は「転」という漢字が分からないという質問でした。

すると教えている子は急にその場でくるくる回り出しました。

「いい?車のタイヤは回っているでしょ?だから転がるって漢字には車がつくんだよ。」

と回りながら説明し始めました。

なんかその光景を思い出しただけでもほっこりというかいいなあと口元が緩みます。

 

次に「湯」という漢字が分からないとなりました。

僕は水に関連しているからさんずいを使うんだよ、というような感じで教えるのかなと思って見ていました。しかし出てきた解説は衝撃を受けるものでした。

黒板に湯船の絵を描きました。

「これ湯船ね。湯船はお湯が入ってるからもくもくしてるよね?そのもくもく〜って感じでこう書いちゃうの!」と煙(湯気)を描きながら一気に「湯」を書き始めました。

「えええ!」と言ってしまいました。正直そんな説明あるかい!と思ってしまいました。

しかしながら聞いていた子は「わかった!」と言ったのです。

「わかったの?次出てきたらかける?」と聞きました。「うん!」

 

僕は思わず声を出して笑ってしまいました。そして笑ったのは君たちが本当に天才だなと思ってついこぼれてしまったことを伝えました。本当に天才だと思ったのです。自分の考えていた説明が笑えてしまうくらいに。

 

湯気をかいて「湯」という漢字を教える先生や大人がどこにいるでしょうか。

子ども達にしか分からないことがたくさんあるんだな。

子ども達にとって教えるエキスパートはきっと子ども達なのだなと。

 

P.S.

きっと教員になったら口元がゆるゆるの教員になるんだろうなあと思った支援校でした。